ロシア政府の圧力、米エクソン主導の「サハリン1」にも波及
[モスクワ 21日 ロイター] ロシア政府は21日、米エクソンモービル
英米系ロイヤル・ダッチ・シェル
ロシア政府のこうした措置は、エネルギーセクターの国家掌握を進める動きの一つとされ、プーチン大統領の任期中(2008年3月まで)に加速すると予想されている。
すでにアナリストからは、ロシアが外資国際石油資本(メジャー)に対し、国際原油価格が現在よりかなり安かった時代に締結した、メジャー側に有利な生産分与協定(PSA)の一部またはすべてを放棄させようとしている、との指摘が聞かれている。
ロシア天然資源省地質関連政策当局の責任者、セルゲイ・フョードロフ氏は、サハリン1について、事業費が野放図に上昇し続ければ、ロシアの得るロイヤルティーは6%にとどまり、利益分はコストの返済に吹き飛んでしまう、と指摘した。
また、別のロシア当局筋は、エクソンがアジアの石油精製業者向けの定期出荷を開始する時期について、ターミナルを追加検査する必要があるとして、エクソン側が希望している11月15日より後になるとの見込みを示した。
ロシア天然資源省のフョードロフ氏は、ロイターとのインタビューで、サハリン1のエクソン側の事業費が当初見込みの128億ドルから暫定ベースで170億ドルに増える可能性があると通知された、と述べた。事業費の増加はサハリン2に続くもの。サハリン2の事業費は、当初計画の2倍の200億ドルに増えることになっており、ロシア政府はこれに異議を唱えている。
フョードロフ氏は、事業費の増加は、開発の遅れなどプロジェクトの他の問題とともに開発権はく奪につながる根拠となり得る、と指摘。
「当方の弁護士は、それが可能で、合意に矛盾しないと確信している」と述べた。
<サハリン1の出荷量は5カーゴから2カーゴに減少>
1993年に締結された生産分与協約では、ロシアが一方的にプロジェクトを解消することができないことになっている。しかし、原油価格が過去最高値水準に上昇したことで、ロシアの潜在的収入が目減りしている。
エクソンは、今年末までにサハリン1で日量25万バレルの生産体制を整え、9月末までに輸出を開始すると予定している。サハリン1の原油は、中東産に代わる新たな供給源として石油会社の期待も高い。
しかし、ロシア極東の技術監督当局者がロイターに語ったところによると、エクソンが11月15日までに輸出できるのは、試験的に10万トンのカーゴ2個分。エクソン側は5カーゴを希望しているが、2カーゴしか認められないとしている。(ロイター)
仏トタル中心の石油開発見直し要求 露、計画見直し求める
【モスクワ=内藤泰朗】ロシア天然資源省は20日、フランスの大手石油会社トタルが中心となったロシア極北の石油開発事業「ハリヤガ」に計画の見直しをするよう求めた。ロシアの英字日刊紙モスクワタイムズが21日伝えた。
日本の商社が参加するロシア最大の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」への事業停止命令に次ぐもので、日本が参画するもう1つの開発事業「サハリン1」へのロシア政府の対応が注目されている。
報道では、天然資源省は20日、「ハリヤガ」の法的基盤となっている生産物分与協定(PSA)を見直すようトタル側に求めた。ロシア政府は、「ハリヤガ」のほか「サハリン1、2」の3つの外資主導の事業の基盤となるPSAが、石油価格低迷期の1990年代に同国が合意した「不平等協定だ」として見直す方針を示していた。
プーチン大統領は22日にフランスを訪問しシラク大統領と会談、「ハリヤガ」のほか、トタル側が参画を目指す同じ極北にあるロシアの巨大天然ガス開発事業「シュトックマン」について協議するものとみられる。
「シュトックマン」の権益をもつロシア国営天然ガス独占企業体のガスプロムは、「ハリヤガ」のほか、「サハリン2」への参画を求めている。戦略資源であるエネルギーの国家統制を強化するプーチン政権は、これら2つの事業にガスプロムを参画させることで、外資の主導権にくさびを刺すとともに、開発事業に目を光らせ、巨大な利権を確保する狙いとみられる。
ただ、「ハリヤガ」は、100%外資だけで開発が進む「サハリン2」とは異なり、10%だが、地元政府が権益を保持する。
また、伊藤忠商事、丸紅、日本石油資源開発が30%の権益を持つ「サハリン1」については、米石油最大手エクソンモービルの主導で開発が進むが、ロシア国営石油ロスネフチも20%の株式を保有する。にもかかわらず「サハリン2」と同様に環境保護法違反を指摘されて圧力を受けている。このため、プーチン政権側が、外資主導の資源開発排除にむけて強硬姿勢を示し始めたという見方も出ている。
(フジサンケイ ビジネスアイ)
露国営石油ロスネフチ、完全民営化 大統領補佐官が言明
【モスクワ=内藤泰朗】ロシアのシュワロフ大統領補佐官が17日、同国国営石油ロスネフチを今後3〜10年で「完全に民営化する」と述べ、ロシア国内外で大きな波紋を呼んでいる。ロスネフチは、エネルギー部門の国家統制強化に動くプーチン政権が戦略企業として強化を図り、政権幹部が同社を取り仕切るだけに今後、内外で議論を呼ぶものとみられる。
事の発端は、シュワロフ補佐官がインタファクス通信にロスネフチの完全民営化について言及したこと。同補佐官は「専門家としての個人的な意見」と断ったうえで、ロスネフチは、株式を徐々に公開し投資家らを公募する形で民営化し、最大株主でも、全発行株の10%以上を保有しないような制限を設けるとの考えを示した。同氏は「これで国営化への動きが完全に民営化への方向に転換する」と述べた。
ロスネフチは、反政権的な同国の元石油最大手ユコスを破綻(はたん)に追い込むことで、同社の資産を吸収し、石油業界第7位の地位から一気に首位に躍り出て、ロシアの石油を牛耳る存在となった。
旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身のプーチン大統領の右腕、セチン大統領府副長官が同社会長を務めるなど、同政権幹部が占める。
この夏には、同社の国家保有株式の15%を一般公開し、約106億ドル(約1兆2400億円)を稼ぎ出していた。
同社は、ユコス破綻の一因をつくったとして批判されているほか、海外でユコス株主らから損害賠償で提訴されている。2年後には大統領選挙もあり、政権人事に大きな変化が予想される。その前に民営化することで、甘い汁を吸い続けようという思惑が幹部の中にあるのではないか、との憶測を呼んでいる。
シュワロフ補佐官は、18日に事業停止命令が出た石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の特権を剥奪(はくだつ)し、ロシア政府の監督下で事業を行うことを主張していた。
(フジサンケイ ビジネスアイ)
民間会社のユコスを破綻させておいて、また再民営化?
株を刷りまくって、投資家に売りつけ、行き詰まったところで、また国策捜査で破綻させる気だろう。
ライブドアもびっくりの、ロシアの国家的詐欺。
英外務省が「サハリン2」めぐる事態に深い懸念、注視する姿勢示す
[ロンドン 19日 ロイター] 英外務省は19日、英・蘭系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル
ロシア天然資源省は18日、「サハリン2」の環境に関する承認を取り消すと発表。19日には、ロシアの国営天然ガス独占企業、ガスプロム
英外務省の報道担当官は「この問題を深く懸念している。ロシア政府には様々なレベルを通じてわれわれの懸念を表明した。事態を注意深く見守っている」と述べた。
(ロイター)
<サハリン2>欧州委がロシアに懸念表明 承認を取り消し
ロシア天然資源省が「サハリン2」プロジェクトの環境影響評価承認を取り消した問題で、EUの執行機関である欧州委のピエバルグス委員は19日、「深刻に受け止めている。予見可能な投資環境がなければ新エネルギー事業への投資は困難となり、世界のエネルギー供給も不確かとなる」とのコメントを発表、懸念を表明した。
(毎日新聞)
サハリン2 露、約束守る意思あるか…米が懸念表明
【ワシントン木村旬】米国務省のケーシー副報道官は22日の会見で、ロシアがサハリン沖の石油・天然ガス開発計画「サハリン2」の事業停止を命じたことについて、「7月の主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)の議長総括にはエネルギー分野の契約順守などが盛り込まれているが、ロシアが約束を守る意思があるのか疑わしい。深刻に懸念している」と述べた。
さらに、同副報道官は「(事業停止は)米企業を対象としたものではないが、ロシアにサミットの約束を守るよう求める」と述べた。この問題をめぐっては日本や欧州から批判が相次いでおり、米国も強い懸念を表明したことで、ロシアに対する国際的な批判が一段と強まりそうだ。
7月のサミット議長国だったロシアは、主要議題に「エネルギー安全保障」を掲げた。プーチン大統領は議長総括で、エネルギー事業への投資促進のための契約順守やエネルギー市場の透明性向上などを盛り込んだ。
(毎日新聞)
露、外交摩擦が激増 資源ナショナリズムの台頭背景
【モスクワ=内藤泰朗】ロシアのプーチン政権が推進する経済拡張政策が、欧米など世界各国との外交上の摩擦を引き起こしている。高騰する石油で自信を深める資源ナショナリズムの台頭が背景にはある。ロシア国境警備艇が16日に北方四島周辺で日本漁船に銃撃、死亡者まで出した事件もその一例だ。経済発展で強気のロシアは、今後とも経済拡張を進めてくるのは確実で、周辺諸国との摩擦も増大するものと予測されている。
ロシアとの摩擦で注目されるのが、同国の世界貿易機関(WTO)への加盟を依然として認めていない米国の動向だ。
ロシア衛生当局は19日、米国ミシガン州の白鳥に鳥インフルエンザが見つかったとして、同州からの鶏肉の輸入を全面的に禁止。17日には、経済発展貿易省が米国に書簡を送り、10月までにロシアのWTO加盟問題が解決しない場合、両国が昨年6月調印した米国産の鶏肉と牛肉の輸入枠拡大合意を白紙撤回すると一方的に通告した。
米国側はこれに激しく反応し、「ロシア側が政府間で調印した取り決めを破棄するのなら、WTO交渉は深刻な結果をもたらすことになるだろう」と警告した。
ロシア側は農産物だけでなく、米ボーイング社製旅客機の購入中止もちらつかせ、両国は「経済戦争」に突入したかにもみえる。核開発を断念しないイランや南米のベネズエラなど反米国家や米国が武器禁輸措置を導入する国々に新型兵器を売却するロシアの姿勢は、米国に対する挑戦と映っている。
ロシアの経済拡張政策の「最重要商品」であるエネルギーでも、摩擦を広げている。
ロシアは、ウクライナやバルト諸国などの反ロシア諸国を経由せず、直接天然ガスを大消費地の欧州に供給するために、ロシア北部からバルト海海底を通ってドイツに運ぶ北欧州天然ガスパイプラインの建設を開始、2010年の供給開始を目指す。
しかし、バルト海に面するバルト諸国に加え、スウェーデンのペーション首相が18日、パイプラインがバルト海の生態系に大きな影響を与えるとして、陸上に計画を変更するようロシアや欧州と協議を開始すると明らかにした。
ただ、ロシアでは「資源を奪う外国を排除し強国を復活させるべきだ」とする資源ナショナリズムが台頭する。西側外交筋は「プーチン大統領自らがロシア製兵器の優秀さをアピールし拡大に躍起となっており、ロシアの経済拡張政策は最重要外交にもなっている。今後、こうした政策が変更されることは考えられず、ますます摩擦は増え武力紛争に発展するような事態も予測される」と指摘している。
【2006/08/20 東京朝刊から】
(08/20 18:50)
オーマイニュースの鳥越俊太郎が、サハリン2の認可取り消し問題は小泉首相のアジア外交やプーチンとの関係が冷え切ったことが問題などと似非ジャーナリストぶりを露呈した発言をしていたんだけど、羅列したニュースを見ただけでも、ロシアが経済危機の際に結んだ契約に異議を唱え強引に資本参加をねじ込もうとして、日本だけでなくアメリカ、欧州、日本、各国とトラブルを起こしていることは素人でも分かる。
小泉外交なんて関係なくて、ロシアの純国益的な欲望からでてきた増長外交。
田嶋陽子が「ロシアの資本が参加してないんだから。話を聞いてあげて参加させてあげなさいよー」なーんて相変わらずのアホな事を言っていたが、ロシアはその妥協案すら蹴って、強奪しようとしてるの。ラーメン屋に土地貸してる地主がラーメン屋が流行ってるようだから経営参加させて売り上げもよこせ、嫌なら出て行けって言ってるようなもん。
田嶋陽子のギャラも契約反故にして取り上げちゃえよ。
鳥越俊太郎はあの歳になって全国区でいい加減なことをえらそうに言っても恥ずかしくないんだろうかね?
ジャーナリストといってもオーマイニュースの素人ジャーナリストのお山の大将なんだろうけど。
ロシアはサハリン2で環境問題を槍玉に挙げて契約反故にしようとしているけど、バルト海の生態系には無関心ならしい。
ロシアの傲慢ではちゃめちゃな資源詐欺外交がこれ以上続けば、強力な政治力を持つ石油メジャーを初めとする外資勢力が黙ってはいないだろう。
現に原油価格もそのせいか急激な下り坂にトレンド転換した。
政情不安定な国に過剰のリスクを背負ってまで投資はしない。投資、インフラ、技術強奪を狙った契約反故、ルール違反が続くようなら外資は続々と撤退するだろう。
ロシアの弱点は資源以外にこれといった産業が全くないこと。原油価格が凋落し外資が続々と撤退すれば、ロシアは根を上げざるを得ない。
現代のABCD包囲網。
強奪国家ロシアもそろそろしおらしくしないとまた冷戦敗戦後に転落するだろう。
読売社説[中央アジア]「資源外交の遅れを取り戻せ」
8月30日付・読売社説
[中央アジア]「資源外交の遅れを取り戻せ」
資源小国である日本にとって戦略的な資源外交の強化は、最重要課題の一つである。
小泉首相がカザフスタンとウズベキスタンを訪問した。
カザフスタンでの首脳会談では、世界2位の埋蔵量を誇るウランの鉱山開発を含め、資源・エネルギー分野の協力を強化することで合意した。ウラン埋蔵量世界10位のウズベキスタンでも、ウラン開発・取引の協力で一致した。
経済・産業を支える基幹的なエネルギー資源であるウランの価格は、この5年で6倍以上に高騰している。
経済成長が著しい中国やインドが電力需要の急増から原子力発電所の新規建設に力を入れ、需給逼迫(ひっぱく)の懸念が高まっているためだ。原油価格の高騰から、米国や英国が新規原発の建設に乗り出すなど世界的な“原子力回帰”の傾向が、これに拍車を掛けている。
各国間のウラン争奪戦の激化は避けられそうにない。日本も後れを取るようなことがあってはならない。
だが、この地域での資源外交では、日本は出遅れている。今回の訪問も巻き返しのため、首相自ら乗り出した形だ。
カザフスタンでは、中国が既に2004年にウラン鉱山開発を含む協定を締結し、05年には胡錦濤国家主席が訪れ、エネルギー分野の協力強化で合意した。フランスやカナダの企業も鉱山開発事業に乗り出している。
日本がウラン開発の権益を獲得したのはようやく今年1月に入ってからだ。
カザフスタンやウズベキスタンが注目されるのは、ウランだけではない。
ウラン同様、レアメタル(希少金属)の価格も軒並み上昇している。特にモリブデンはこの3年で約6倍、タングステンは約4倍に跳ね上がった。
レアメタルは、耐熱性や強磁性といった金属特性から、先端技術分野を中心に幅広い産業で利用されている。超硬合金を作るのに不可欠なタングステンの場合、中国からの輸入が約9割に達する。供給源の多角化も重要な課題だ。
ウズベキスタンは、タングステンやモリブデンが豊富だ。カザフスタンは、クロムの生産量が世界3位、マンガンの生産量も世界6位だ。両国との関係を強化することは、レアメタルの安定確保に資するだろう。
日本の首相の中央アジア訪問は初めてだ。やはり高騰著しい銅や石炭が豊富なモンゴル訪問に続くものだが、これまでの遅れを挽回(ばんかい)するのは容易ではない。
「小泉後継」政権は、資源外交に本腰を入れ、さらに強化、発展させなければならない。
小泉首相が最後の外遊に中央アジアを選んだ意味は大きい。
支那・露にくさびを打ち込みけん制する意味合いが大きい。現に小泉首相の中央アジア訪問後にサハリン2問題が持ち上がった。
安倍総理、麻生外相にもアメリカ・EU・東欧諸国の情勢を分析・協調しつつ、真綿で首を絞めるような対ロシア外交を展開してくれることに期待している。
露がグルジア国境閉鎖し交通遮断、郵便や送金も停止
【モスクワ=緒方賢一】グルジア政府がロシア軍将校ら5人をスパイ容疑で拘束した問題を受け、ロシア政府は2日、グルジアとの間を結ぶ鉄道や道路など一切の交通を遮断する「国境封鎖」に踏み切るとともに、郵便や送金を停止することを決めた。インターファクス通信などが伝えた。
同通信などによると、ロシア運輸省では、航空や鉄道、海、陸などすべての交通機関に対し、グルジアとの交通の遮断を命令した。郵便や資金の送金を停止したロシア郵政省は理由について、「安全を確保するため」と説明した。
プーチン露大統領は1日、グルジア政府がロシア軍将校を拘束したことについて、「国家テロ」と非難。露政府はグルジア国民へのビザ発給を停止したほか、駐グルジア大使を召還していた。(読売新聞)
グルジアの親欧米化に伴って駐留ロシア軍を追い出す運動が過熱している。
アメリカCIAなどの工作も絡んでるみたいだからロシアも過剰にナーバスになっている。
日本国民を拉致、殺害され、ロシアのスパイをまんまと逃がしてしまった日本政府とは大違いだ。
安倍首相、麻生外相には国際情勢と呼応して、外交圧力をかけたり引いたりして、北方領土を奪い返して欲しい。
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